2018文教委員会視察報告:小中一貫 玄海小・中学校(宗像市)

2018文教委員会視察報告:小中一貫 玄海小・中学校(宗像市)

2018-10-26

文教委員会視察報告(笹岡ゆうこ) 小中一貫教育 玄海小中学校 ↓ワード版はこちら

 

日時:2018年10月18日(木)

視察先:玄海小・中学校(宗像市)

内容: 2日目午前中は、宗像市小中一貫教育校の視察でした。

宗像市は、「中学校区内共通の教育目標達成に向けて、

小・中学校の教職員が協働し、9カ年の一貫したカリキュラムに

基づいて実施する教育」を掲げています。

玄海小・中学校は周りに一面の大豆畑が広がり、

川がすぐそばを流れていて、空も近く感じるほど自然豊かな場所に

ありました。

同じ敷地内に小学校・中学校が隣接してあり、それぞれ

入り口は別々に設けてありますが、共通の教員室を持っています。

1学年は40名前後で小学生全体としても89名しかおらず、

敷地内の学童も1年から6年までの20名程度の利用とのことでした。

中学校区で区切られているとのことで、離島を除いて一番遠くに住まう

児童は約6km離れており自転車通学が基本とのことでした。

なかなか遠いなという印象を受けました。

参観させていただいた時間はちょうど、中学校の教師と小学校の教師による

乗り合いの6年生の音楽授業がされていました。

大変パワフルな中学校の音楽の先生で、小学校の音楽の先生はあくまで

サポートをする形で授業が進行していました。

 

中学校教諭の指導力を発揮することは音楽の授業からは

明確にはわかりませんでしたが、教員が多く配置されることは

児童にとっていいことだと感じました

 

本市の小中学校を見学すると、教室に児童生徒がぎゅっと詰まっていて、

教室が狭く、授業参観でも教室から溢れた父兄が

廊下からも参観していますが、玄海小中学校は生徒数も少ないため、

各教室にゆとりが感じられました。

 

小中一貫教育の成果としては、荒れていた中学生が穏やかになったとのことでした。

これは、校舎の雨樋には「武者返し」のような物をつけて、

屋根に登ってしまう生徒を防止せざるをえなかったり、

2年間で10名を超える教員が退職をしていたりする状態であった

とのことで、驚きました。

しかし、体格も全く違う、年下の小学生が入ってくることで、

中学生たちが優しく接してくれて、先生方も驚いたとのことでした。

 

また、共通の教員室が一番のメリットであるとのことでした。

先生同士の交流において、小学校・中学校の「文化の違い」

「指導の仕方の違い」「働き方の違い」を知る事が出来、

理解が深まったとのことでした。

また、退職した校長先生に学園コーディネーターの役をお願いし、

若手教師の育成にも携わっているそうでした。

参考になった点: 1人の生徒を9年間の連続性の中で見守り、

育てていくことは何よりも大切だと考えます。

それには一貫したカリキュラムや、公教育側の姿勢や信念は

もちろんのこと、教育に携わる教員・地域の方とのつながりもポイント

となると考えました。

現地に伺って一番に感じたのは、

宗像市のように体育館を3つ設けたり、

敷地内にも余剰スペースがあったり、という

十分な敷地面積を確保することが出来ないという本市の立地条件の差でした。

 

また、本市は今後の児童生徒の増を鑑みて十分な教育環境を

確保すること学校施設の老朽化や建て替えを計画的に行うこと

は喫緊の課題であるとともに、

今後は給食の自校化にも取り組むとされています

 

加えてこれからは、障がいのある子どもたちもより通いやすくなること、

教師の多忙化解消により、一層子どもと向き合う時間を取れること等、

ハード面だけではなくソフト面でも改善していく課題が多くあると考えます。

子どもたちを9年間の連続性を持ってどのように支えていくかを

考えるにあたり、児童生徒との向き合い方をどうしていくかを

学校・地域・家庭が一体となって取り組むことが大切だと感じました。

本市との違いも感じながら、先行事例として参考になりました。