平成30年度から小学校、平成31年度から中学校において、道徳が特別な教科化されます。
「道徳が特別な教科化」されると、何がどう変わるのでしょうか?
(画像:NHKおはよう日本 2017.9.6 )
2つの変化があります。
①決められた道徳の教科書を使うこと
②通知表に評価が出ること
(画像:NHKおはよう日本2017.9.6)
これについて教育長に対し、質問しました。
<平成30年度第二回定例会 一般質問>
平成29年、道徳の教科書検定においては、学習指導要領が示す、
「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つ」という内容を鑑みて、
パン屋さんのお話を和菓子屋さんに修正したことなどに関し、違和感を持つ声が多く、
報道でも話題になりました。
本市は道徳の教科化においてどのようなお考えをお持ちか、伺います。
(教育長答弁)
道徳の教科化についてのお尋ねです。
いじめの問題や子どもたちが直面するさまざまな問題に対応できる資質・能力を育むためには、
答えが1つではない道徳的な課題について、あなたならどうするかを問い、
自分自身のこととして多面的・多角的に考え議論していく、考え、議論する
道徳への質的な転換が求められました。(中略)
本市においても、数値などによる評価ではなく、
その子がいかに成長したかを積極的に受けとめて、認め、励ます個人内評価を行います。
今回の道徳の教科化によって、子どもたちがよりよく生きるための基盤となる道徳的判断力、
心情、実践意欲と態度などの道徳性の一層の向上が図られることを期待しております。
本市においても、数値で評価はしない、という答弁をいただきました。
しかし、不安は募ります。
なぜなら道徳の特別な教科化は、以前中央審議会において「心の中を評価することになる」
と慎重論で見送ったことがあったからです。
その上、子どもたちは大人が考えている以上に「大人が求めていること」を察しようとします。
つまり、「先生が気にいるだろう答えを出そうとする」ことは推測できるわけです。
このことについて再質問しました。
道徳という教科は、以前は修身という教科で、戦争の間とかも乗り越えていろいろな形に、
政府の方針によってさまざま変わってきたものでありますので、
これだけ話題になるのだと思っております。(中略)
道徳の教科化も、第1次安倍政権が教育再生会議で提言し、中央教育審議会が、
「これは心の中を評価してしまう」として、慎重論で見送ったものです。
それが第2次安倍政権でまたすぐ決定実施されています。(中略)
先生の思っている答えに合わせて子どもが答えるようになるのではないかと(中略)
思っておりますので、そこら辺、道徳の教科化についてはしっかりと、御説明も含め、
やっていただきたいと思います。
これは保護者に対しての説明はどのような感じなのでしょうか、伺います。
これに対しての教育長の答弁です。
先週、校長先生と話をしていて、小学校ですけれども、今年から道徳教科化が既に始まっています。
年度の当初で評価とか道徳の目的については保護者の皆さんにも御案内しているようですけれども、
その学校は秋に道徳の授業公開があるので、そこへ向けて校長先生は、
各先生が道徳の授業の中でどういうふうにしているのかというのをよく見に行っている
という話をしていました。
その中で、子どもたち一人一人の道徳の授業を通じた考えが深まっているのか、
そのことを見取っているのかというのが大事だなという話をしていました。
そういう意味で、保護者の方にもわかりやすく、今までも道徳の時間の授業公開はされていましたから、どういうふうに変わっていくのか。
その中でも、校長先生が話していましたけれども、やはり子どもたちは結構、
高学年だったりすると、先生の期待しているところを察知して先取りして、
そこへよい回答をするような傾向も今までの中ではあったようです。
ただ、先ほど答弁したところで、道徳は、考え、議論する道徳です。
そして、多面的・多角的に学ぶ。
多面的というのは、一つの事柄を取り上げても、いろいろな見方がある。
それから、多角的というのは、さまざまな考え方がある。
その中で、場合によっては葛藤もあると思いますし、いろいろな考え方が並ぶ場合もある。
最終的に、授業が取り散らかっていいわけではないのですが、でも、いろいろな考え方がある中で、
例えば友情とか公平・公正とか生命の尊さとかいろいろ挙げられていますけれども、
22個の内容項目を通じて、そういう道徳的な考えを一人一人が深められるように、
そういうように授業を行っていく。それを、ああ、教科化で変わったのだなということを保護者の方にも伝えるようにしていきたい、
そういう話をしていました。
学校では、今、そういう準備をしているというところでございます。
1つではない答えに対し、いろいろな立場や観点から多角的に考える。
これは大切な観点です。
しかし、小学校の授業の様子を見ていて、担任の先生が誰になるかによって
教え方や捉え方はかなり違ってくるのかなと感じます。
これからも見守っていきたいと思います。