2023年9月議会での一般質問は、
『子育てと介護等の視点からの防災対策と、武蔵野市が誇る学校給食について』を
テーマに質問しました。
今回はこのうちの、❺本市が誇る学校給食について
の議事録をまとめます。
一括質問をしていますが、わかりにくいので一問一答式で記述します。
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大きな2番、本市が誇る学校給食について、伺います。
本市のこだわりの手作り給食の取組は、約半世紀に上っています。
1978年、境南小学校において、山田 征さん、海老原洋子栄養士を中心に、有機食材や
無添加の調味料などを使い始めたことは有名です。
2005年には中学校の給食実施を公約に掲げた邑上市長が当選し、コスト面と質を検討
した結果、2010年に現在の給食・食育振興財団ができました。
そこで改めて、本市の特徴である献立作成及び調理の指針が文書化されています。
このことからも、今日の体制は、連綿と築いてこられた先人たちの御尽力の
たまものだと考えています。
私自身も武蔵野育ちでございますので、小さい頃、幼少期の、まさに体がつくられる
大事なとき、3食中1食は武蔵野市の手作り給食でつくっていただいたと、
本当に感謝しております。
国のことを調べますと、農水省も、2050年を目標として、有機農業の取組面積を
現在の2万3,500ヘクタールから100万ヘクタールに拡大することを掲げています。
政府は、食育推進基本計画を掲げ、文科省も学校給食地場産物使用促進事業を推進するとしています。
国会においては、自民、公明、立憲、共産、維新、国民、令和の超党派による国会議員の議連も発足し、
近年の食の安全、殊に給食の安全に対する関心の高まりが見えます。
本市はその先進都市として注目され、「希望の給食」と形容されるように、様々注目を浴びているところです。
よって、以下質問させていただきます。
①本市が長年提供してきた給食に対する理念や考えを伺います。
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学校給食は、家庭における食事とともに、子どもたちの健全な心と体の成長や活動を
支える大切な役割を担っております。
本市では、市の給食課の直営の時代から、食材本来の味を大切にする手作り調理、
安全に配慮した食材の厳選、食文化を伝える和食献立などを特色とする学校給食を
提供してまいりました。
これらの長年続いた取組を受け、平成22年の財団設立に当たって、
武蔵野市学校給食の献立作成及び給食調理の指針を作成しました。
財団となっても、この指針の下、栄養士及び調理員が栄養バランスを考え、
多種多様な食品や料理を取り入れ、好き嫌いなく食べてもらえるよう料理の工夫を行い、
自信を持って子どもたちに給食を提供しております。
この指針に書かれていることをしっかりと守り続け、将来にわたっても本市の特色ある給食を続けていくことが大切だと考えております。
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②給食の食の安全で最も大切だと思われる、武蔵野市学校給食の献立作成及び給食調理の指針について、どのような献立、食材、調理法かを含め、内容を伺います。
https://www.city.musashino.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/033/772/33.pdf
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指針の内容についての御質問ですが、武蔵野市学校給食の献立作成及び給食調理の指針は、
給食の内容と安全性や質を維持し、さらに充実発展させることを目指し、
献立作成、食材選定、調理方法などについて教育委員会が定めた指針です。
献立作成については、栄養バランスに考慮することや、偏食や食べず嫌いをなくすため
に、多様な食品や、家庭で使用しづらい豆とか海藻類、乾物などですが、
そういった食品をできる限り取り入れることなどが明記されております。
食材選定については、学校給食衛生管理基準の食品の選定においては、有害なもの、
またはその疑いのあるものは避けることや、安全性を最優先すること、
食品本来の味を子どもたちに伝えられる食材を選定することや、
市内産野菜の優先使用や地産地消の推進などが明記されております。
給食調理については、安全衛生管理について定めているほか、調理品、半調理品は
極力使用せず、手作り調理を心がけることなどが明記されております。
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③直近の市内産野菜使用率と、課題と展望を伺います。
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直近の市内産野菜使用率についての御質問です。
令和5年4月から7月における市内産野菜の使用率は23.2%です。
課題としては、農地の減少による野菜の生産量の低下が懸念されるところです。
また、ほとんどが露地栽培のため、異常気象が続くことによる収穫量の低下も
懸念されるところです。
展望についてですが、しっかりと後継者のいる農家が多く、給食への理解もあるため、
当面は、生産者がいなくなるというおそれはないものと考えております。
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④食材や光熱水費の急激な高騰が取り沙汰されており、家計への影響も深刻であります。近年の給食食材費の推移と、給食を提供している児童生徒数の推移を伺います。
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給食費と児童生徒数の推移についての御質問です。
給食食材費については、令和2年度が約4億円、令和3年度が約4億8,000万円、令和4年度が約5億円です。
児童生徒数は、小中合計で、令和2年度が8,008人、令和3年度が8,268人、
令和4年度が8,455人でした。
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⑤1食当たりの給食費の23区平均と本市の金額の違いを伺います。
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1食当たりの給食費についての御質問です。
まず、武蔵野市、本市ですが、低学年が260円、中学年が270円、高学年が280円、中学生は340円です。
そして、23区の平均ですが、低学年が246円、中学年が267円、高学年が288円、中学生が333円です。
そして、26市の平均ですが、低学年が237円、中学年が252円、高学年が267円、中学生が305円です。
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⑥給食費無償化が話題ですが、給食費無償化が実現した場合でも、
質の高い給食を提供してきた本市の給食の歴史に鑑み、
質を落とすことは避けなければいけないと考えていますが、市の見解を伺います。
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給食の質についての御質問です。
現在も、限りある給食食材費の中で様々な工夫を行いながら、
武蔵野市学校給食の献立作成及び給食調理の指針に沿って、質を守りながら給食を
提供してまいりました。
これは無償化になったとしても維持していくべきものと考えております。
無償化に伴って今までの給食の質が低下するようなことがないよう努めていくべきものと考えております。
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⑦2022年、ゲノム編集トマト苗が福祉施設や小学校向けに配られるという報道を受け、
多くの自治体、ほとんどの自治体が受け取りを拒否する事態となりました。
今後、同様の新しい技術による食材を積極的に給食に導入することはあるか、市の考えを伺います。
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新しい技術による食材の導入についての御質問です。
食品の選定においては、有害なもの、またはその疑いのあるものは避けることとの
学校給食衛生管理基準の考え方に基づき、
科学的・社会的に安全性が明白になるとともに、保護者をはじめとする市民の皆様の
御理解をいただかない限りは、指針に記載のとおり、
疑わしきは使用せずとの考え方の下、積極的な導入を行う考えはございません。
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⑧本市の給食の安全のための取組を今後もぜひ世代を超えて継承していきたいと
考えています。
武蔵野市学校給食の献立作成及び給食調理の指針を条例化する必要はないか、市の見解を伺います。
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指針を条例化してはという御質問ですが、武蔵野市学校給食の献立作成及び給食調理の指針は、
武蔵野市の子どもたちの安全・安心でおいしい給食提供のためには、
非常に大切なものであると考えております。
理念の部分はこれまで武蔵野市が築いてきた給食に対する考え方などが記載されており、
これは今後も大切に引き継ぐべきであり、大きな変更などは考えておりません。
しかし、栄養価を示す学校給食摂取基準が国の基準に準拠しており、その都度改正が
あることや、アレルゲンの扱いなどについても迅速に対応する必要があり、
そこの部分の変更を行う必要があることなどを鑑みると、ある程度の柔軟性が
求められるため、現在のところ、条例化の必要性は認められないものと考えております。
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最後に、⑨本市は子ども子育て応援宣言のまちを掲げています。
シティプロモーションとして、給食の安全をもっとアピールすべきだと考えています。
今後の取組について、市のお考えを伺います。
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給食のアピールについての御質問です。
学校給食については、令和4年以降、武蔵野市及び給食・食育振興財団への撮影や
取材が増加しております。
現在、武蔵野市の給食を紹介しているYouTubeのチャンネルは4本ございまして、
そのほか、大学准教授、特定NPO法人、日本人の映画監督からの取材を
いただいております。
特定NPO法人では、今年の夏、桜堤調理場でフィールドワークを実施して、フランスからも参加されたようですが、
全国から40名程度の参加があり、給食も試食していただきました。
また、昨年度から全国からの視察も多くいただいており、令和4年度は2つの自治体
から、令和5年度は既に6つの自治体からの視察を受け入れ、
来月も3つの自治体が視察に来られる予定です。このように本市の学校給食は
現在も全国的に注目をいただいており、これらのことを活用して、
どのような効果的なシティプロモーションになり得るのか、市長部局とも協力をして
研究してまいりたいと考えます。
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<再質問>
給食は、本市は日本のトップを走っている力の入れようだと思っていて、
これは私たちも、武蔵野の給食はいいものだと思っているのですけど、
では具体的にどういいのかとか、他自治体と比べてどれほど力が入っているのかとか、
半世紀にわたって、この思いが紡がれてきたこととか、そこまで知らなかったりするのです。
この給食の財団が「自分の子どもに食べさせたい給食」を作っている。
こういったことを考えますと、武蔵野市がずっと出してきた給食というのはものすごく
子育て支援だと思っています。
子育て支援は、何かを無償化したりとか経済的な支援だけではなく、
50年間、公として、すばらしい子育て支援をしてきたということを、
⑨で申し上げたとおり、もっとアピールしていただきたいと思っています。
このことがきちんと伝わると、子育て世代や働く世代の誘致にもつながると思っています
ので、子育て環境もただでさえいいというふうに評価されている武蔵野において、
9年間は安全な食事を給食でいただけること、あと、
このすばらしい自治体の50年間の姿勢というのはしっかりとホームページも広報も
メッセージも工夫していただきたいと思いますが、今までと違うことをきちんと
力を入れてやっていただきたいと申し上げていますので、
そこをお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。
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いろいろと取材いただいていたり、それから、平成19年だったと思うのですけれども、
北町調理場が学校給食の文部科学大臣表彰も受けたりしているのです。
そういったことも武蔵野市の学校給食の評価だと思いますので、様々な機会を捉えて、
アピールをしていきたいと思います。
そして、新しい桜堤調理場では、体験をしながら武蔵野市の給食を試食していただいたり
する、そういう施設的な整備もいただきましたので、そういったことも活用しながら
進めてまいりたいと思います。
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もう一つは、無償化についてです。
④、⑤あたりなのですけれども、無償化に関しては、国が行う給食無償化は
平均値くらいしか補助されない可能性というのも結構大きいのではないかなと思っています。
億ぐらい行ってしまうかもしれない。
市の持ち出しとして補塡する可能性も出てくるのではないかと思っています。
実際に、いすみ市も、一般会計から補塡をして、有機米を購入されています。
ですので、無償化を検討するなら、まず本市の給食についての歴史と、意義と、
つながれてきた思いと、公としての考えを考えるべきだと思って私は
この一般質問をつくらせていただいておりますので、先日の文教委員会でもあったように、
人件費とか食材費とかのカットがどんどんされていくことがなく、
削ってはいけないものだと思っていますので、もし無償化やいろいろな状況が
変わったとしてもしっかりと考えていただきたいと思いますが、
この持ち出しの可能性とか質に対してもう一度御答弁をお願いしたいと思います。
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給食の無償化に伴っては、補助金が出てくるのか、どういった形で行われるのか、
制度化されるのか、あるいは武蔵野市が単独で考えるのか、いろいろあると思います
けれども、補助金の場合にしても、ほかの制度の中でいわゆる超過負担というのは
あり得ますので、
先ほど来、指針のところで答弁申し上げているとおり、
武蔵野市の学校給食の質の維持については教育委員会として大切なことと考えております
ので、そのために必要な措置を努力をしてまいることだと思っております。
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もう一つは、条例化のお話です。
私が心配していることは、当時の山上教育長がコメントで残されていることです。
このようにおっしゃっています。
「心配なことは、スタート時点での志がよくても、我々携わった者が退いた後、
どれだけ志を維持できるか、目先のことにとらわれず、しっかりやってほしい」と
いうふうな言葉が残されていることが分かっています。
先ほどの教育長のお話ですと、内容の指針の理念の部分とか実際の部分は変わらなくて、
栄養値が少しずつ変わっていくかもしれないというお話だったのですけれども、
これは時を越えますと、我々も全員メンバーが替わりますし、皆さん(執行部)替わるわけで、
そういった中で、この指針が少しずつ変わっていくことがあるのではないかなと
思っています。
なぜなら、卵も非遺伝子組換え飼料で抗生物質不投与で育てられた国産の卵を使って
いたりとか、パンも国産小麦、国産バター、うどんとかも国産小麦から作られている
ものとか、こういったものというのは幾らでも安いものはあるわけであって、
家庭でもなかなかそこまでできなかったりするところも多いわけで、
そこがなし崩し的に変わっていってしまうのではないかなということを本当に心配していますが、この指針の運用がこれからずっと継続していくこと、
大丈夫だよと言われたのですが、この理念の部分というのも、
どのようにずっと条例化せずそのまま受け継がれていくとお考えなのか、
もう一声いただきたいと思います。
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条例化ですけれども、指針については、先ほど申し上げたような献立とか調理とか
食材選定、その3つの大事な要素について規定をしております。
先ほど御紹介しましたけれども、平成27年に実は一部改定をしておりまして、
そのときに給食・食育振興財団とその改定に伴って対話をしたのですけれども、
一部規定の内容が、何々するということだけだったのですが、何のために、
何を目的としてということがちょっと記載が欠けているところがあったので、
その目的、狙いについて加えた上で記載をしておりますので、この指針について、
給食・食育振興財団ができるときに、給食課として行っていた武蔵野市の学校給食が
きちんと財団に伝わるのかどうか、そういったことを心配するというか、
それを期待して指針をつくったわけですので、その指針の中で盛り込まれていることを
これからも大事にして、先ほど申し上げたように、何のためにこれをしているのかと
いうことも共有をしていくことが給食の質の維持につながるものと考えております。
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学校の給食が、有機のものを使ったり、いろいろ手作りしたり、食材の安全に関しては、
やはりフランスも韓国もアメリカも、そしてブラジルも世界的な流れでもあると
思っていて、そこの部分のだいぶ先端を走っているのが武蔵野市だろうなというふうに
思っています。
ですので、例えば、境南小の山田 征さんたち、お母さん方が、朝収穫したばかりの、
土がついた大根をみんなで自転車で次々と運び込んで、泥落とし作業から始めていた
というふうに聞いています。
その泥落とし作業の流れが今の桜堤調理場の専用の泥落としの前室につながっている
と思っていて、これはなかなか感慨深いなというふうに思いますので、
武蔵野が公として子どもたちの食を大事にしてきた、また、地域の方々と共に培ってきた流れをぜひもう一度再評価して、市長にももっとアピールしていただきたいですし、
もっと皆さんに分かりやすく伝えていただきたいと思っています。
ただ、手作りだよとかではなくて、家庭では難しいぐらいの、遺伝子組換えを使って
いないよとか、土がついたものを落としているよと、そんなところまでお伝え
いただけたら、皆さんに分かりやすく公の姿勢が伝わるのかなと思っておりますので、
ぜひお願いしたいと思っています。
私は、武蔵野市の学校給食は子育て支援としてすばらしいものだと思っています。
そして、これが一市長とかではなくて、50年間ぐらい続いてきたものだというのは
非常に高く評価すべきだと思っておりますので、これから我々が全員いなくなって
次の世代になってもぜひ受け継いでいただきたいと、教育の方々にもぜひお願いしたい
と思います。
動画はこちらから。